精神保健福祉士

介護というと、高齢等により体を自由に動かせない人に対しての介助行為をまず思い浮かべる人が多いと思いますが、介護は身体的な介助を行うことばかりではなく、精神的な障害を持つ人に対しても行われます。それらの人を介助、支援し安定した日常生活を送れるように介護する為の専門的な知識を持っているという基準が、精神保健福祉士という職業、資格なのです。

精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは国家資格であり、その資格を有する人は精神保健福祉士の他に精神科ソーシャルワーカー(英語表記ではPSW“Psychiatric Social Worker”)、精神医学ソーシャルワーカー等と呼ばれることがあります。

精神的な障害を抱える人が、社会的に復帰できるように専門的知識を用い、相談、指導を行うことができる資格があると国に認められているのが精神保健福祉士なのです。

精神保健福祉士の歴史

精神保健福祉士の歴史は1948年(昭和23年)に国立国府台病院に精神科ソーシャルワーカーが配置されたことから始まったと言われています。

その後1964年(昭和39年)には日本精神医学ソーシャルワーカー協会(現在は日本精神保健福祉協会)が組織され、1997年(平成9年)の精神保健福祉法制定により、精神保健福祉士という資格が定められました。

精神保健福祉士とは名称独占の資格

精神保健福祉士は社会福祉士と同様に名称独占の資格であり、資格を持たなくとも精神的な障害を抱える人の相談に応じる職務を行うことはできるが、無資格者が精神保健福祉士の名称を利用することは禁止されています。

精神保健福祉士の資格取得方法

精神保健福祉士の資格を取得する方法は、1年に一度行われる精神保健福祉士国家試験に合格し、精神保健福祉士の登録を行うことで、資格を取得することができます。

精神保健福祉士国家試験の受験資格

精神保健福祉士国家試験を受験する為には、受験資格を満たしていないと受験することができません。

1

保険福祉系4年制大学等(4年生専修学校含む)で指定16科目を履修した卒業者

2

保険福祉系3年制短大等で指定16科目を履修した卒業者で、指定施設(精神科病院等)にて相談援助等1年以上の実務経験を有する人

3

保険福祉系2年制短大等で指定16科目を履修した卒業者で、指定施設にて相談援助等2年以上の経験を有する人

4

福祉系4年制大学等(4年生専修学校含む)で基礎7科目を履修した卒業者で、精神保健福祉士短期養成施設(6ヶ月)にて必要な知識、技能を修得した人

5

福祉系3年制短大等で基礎7科目を履修した卒業者で、指定施設にて相談援助等1年以上の経験を有する人で、精神保健福祉士短期養成施設(6ヶ月)にて必要な知識、技能を修得した人

6

福祉系2年制短大等で基礎7科目を履修した卒業者で、指定施設にて相談援助等2年以上の経験を有する人で、精神保健福祉士短期養成施設(6ヶ月)にて必要な知識、技能を修得した人

7

社会福祉士の資格保持者で、精神保健福祉士短期養成施設(6ヶ月)にて必要な知識、技能を修得した人

8

一般4年制大学卒業者で、精神保健福祉士一般養成施設(1年)にて必要な知識、技能を修得した人

9

一般3年制短大卒業者で、指定施設にて相談援助等1年以上の経験を有する人で、精神保健福祉士一般養成施設(1年)にて必要な知識、技能を修得した人

10

一般2年制短大卒業者で、指定施設にて相談援助等2年以上の経験を有する人で、精神保健福祉士一般養成施設(1年)にて必要な知識、技能を修得した人

11

指定施設にて相談援助等4年以上の経験を有する人で、精神保健福祉士一般養成施設(1年)にて必要な知識、技能を修得した人

※ 上記受験資格は現在(2009年)のものであり、改正等により変更されている場合があります。正確な情報は厚生労働省にてご確認下さい。

精神保健福祉士の働く職場と仕事内容

精神保健福祉士が実際に働く職場は多岐に渡りまして、医療施設(精神科病院、介護療養型医療施設等)、介護保険施設(介護老人保健施設、グループホーム等)、福祉行政機関(各自治体、保健所等)、司法施設(保護観察所等)、また、教育現場や企業の職場等にてソーシャルワーカーとして相談援助を行ったりもしております。

医師や看護師、作業療法士等と連携し精神に障害の有る人(統合失調症、躁鬱病等)や、その家族からの生活に関すること、また介護保険や医療保険等の制度の利用方法等の相談に応じ、障害者の早期社会復帰に努めます。

また、利用者への直接の支援ではなく、法律や制度に関する専門知識を活かし、行政機関での関係手続きを行ったり、介護保険施設等で障害者の介護を安全に行えるように施設の設計に携わったり、施設と医療機関とのネットワーク作り等も行います。

介護保険における精神保健福祉士の役割

身体的な介護意外にも精神的な障害に関する介護を必要とする人がいるということをお話しましたが、身体的な介護を必要とする人が、精神的な障害も伴ってしまうことは少なくありません。自由に体が動かせないことへのストレスや、介護という名の下とはいえ、誰かに迷惑を掛けているという思いから鬱病になってしまう人もおります。

その為、精神保健福祉士の働く施設は介護保険の関連施設全般であると言えまして、要介護者の心身回復の支援と共に、退院(退所)後の生活や経済的なことに関し指導、アドバイスを行うことができます。

介護保険関連施設における精神保健福祉士の配置義務はまだありませんが、介護療養型医療施設(老人病院)や介護老人保健施設、訪問看護ステーション等で常勤している精神保健福祉士も存在します。今後精神保健福祉士を配置する介護保険関連施設が増えることにより、要介護者の精神的な面に関するケア技術も向上していくと思われます。