作業療法士

作業療法士は理学療法士と同様に介護保険の給付を受けた要介護者に対して、日常生活における必要な行動を行えるようにリハビリテーションを行う人を指します。介護保険制度においてリハビリテーション等で身体機能の回復を図るということは制度の理念上無くてはならないことであり、そのリハビリテーションのプロフェッショナルが作業療法士なのです。

作業療法士とは

介護保険制度は高齢者が適切な介護を受け、安定した生活を送ることを目的とすると共に、要介護状態からの回復、また介護を必要とする段階に至る前に状態を改善する為の予防介護等も行っております。

作業療法士とは国家資格ですが、理学療法士と同様に名称独占資格であり、療法自体は無資格者でも行うことができますが、作業療法士という名称を無資格者が使うことは禁じられております。作業療法士はオキュペーショナルセラピスト(Occupational Therapist:OT)とも呼ばれます。

作業療法士の資格取得方法

作業療法士の資格を取得する方法としましては、一年に一度行われる筆記試験と実技試験に受からなければいけません。筆記試験は、8都道府県(北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県)にて行われ、実技試験は東京都のみで行われております。

視覚障害者の場合は筆記試験として、弱視用試験、点字試験が行われ、実技試験の代わりに口述試験が行われます。

作業療法士国家試験の受験資格

作業療法士国家試験を受ける為には受験資格があり、その受験資格は現在(2009年)3つのルートがあります。

1

大学入学有資格者で、文部科学大臣指定の学校、及び厚生労働大臣指定の作業療法士養成施設にて、3年以上作業療法士としての知識や技術を修得した人

2

外国の理学療法士養成施設を卒業した人、または外国で理学療法士の資格を取得した人で、1の項目と同等の知識、技術を有していると認められた人

3

文部大臣、厚生大臣より指定された学校や施設にて、作業療法に関する知識、技術を学び卒業した人

作業療法士の仕事

作業療法士の仕事とは、要介護者に対するリハビリテーション行為ですが、それは身体的なリハビリテーションだけではなく、精神に障害を抱える人に対しても行われます。怪我で身体的な障害を負った人、病気により精神的な障害を負った人、発達障害のある子供や、高齢による身体的、精神的に障害を抱える人と、様々な人に対してリハビリテーションは行われます。

身体に障害がある人に対してのリハビリテーション

障害の為に行うことができなくなった、日常生活での行動(食事、排泄、入浴等)に必要となる動作(箸を持つ、炊事を行う等)をリハビリテーションにより、身体機能の回復を図ったり、義手や福祉用具により同様の行動ができるように動作訓練を行ったりします。

精神に障害のある人に対してのリハビリテーション

精神に障害のある人と一言で言っても、統合失調症や鬱病、高齢による認知症等の人はもちろん、薬物依存症の人まで様々な症状の人がおり、日常の行動、運動や団体活動、作業等の中で体を動かし、人と話をすることにより心身のリハビリテーションを行い、障害者の社会復帰を図ります。

また、その家族に対しても障害を抱えた状態における生活に関する相談に応じたりアドバイスを行ったりもします。

作業療法士の職場

作業療法士の職場は、理学療法士と同様に医療関連施設や介護福祉施設、教育関連等が多いようですが、精神病院、一般病院の精神科や神経科、重症心身障害施設等の精神面に関する施設等にも従事しています。

作業療法士と理学療法士の違い

作業療法士は、理学療法士が療法を行うことができない精神的な障害に対してリハビリテーションを行うことができるのが一番の違いですが、身体的な障害に対するリハビリテーションでも違いがあります。

理学療法士が障害を負った患部の動作をリハビリテーションにより回復させるのに対して、作業療法士は障害を負った為に行えなくなった行動や作業を、リハビリテーションを通じて以前と同様に行えるよう回復を図ります。

わかりやすい例

一例としましては、麻痺等により腕が動かなくなった人に対して、腕を動かせるようにリハビリテーションを行うのが理学療法士であり、箸を持ち食事ができるようにリハビリテーションを行うのが作業療法士であると言えます。

作業療法士の行うリハビリテーションが主に作業に関係する事が多いことから、上肢のリハビリテーションは作業療法士というイメージもあるようです。

作業療法士の今後

作業療法士も理学療法士と同様に養成学校の増加に伴い、有資格者数が増加しており、希望通りの給与や勤務地等を選ぶことが難しくなっている現状です。

高齢者増加により介護福祉施設等も増加しておりますが、介護老人保健施設立の作業療法士の基準配置義務は、利用者100人に対して作業療法士1人と比率が低く、必ずしも質の高いリハビリテーションが行われているかというと疑問があります。

介護保険は今後も改正により、より良い制度になると思われますが、それに伴って作業療法士の活躍する場も増えて行くと思われます。