言語聴覚士

みなさんは高齢者と言われてどのようなイメージがありますか? 腰が曲がっている、目が悪い等色々なイメージが有ると思いますが、耳が遠いというイメージもありませんか?
コミュニケーションを取るために大切な、話す、聞くといった事に関する障害を改善する為にリハビリテーションを行う人を言語聴覚士といいます。

言語聴覚士とは

とても元気なご老人もおられますが、耳が聞こえにくい、上手く言葉を話すことができないという障害を抱えている高齢者がいるのも事実です。
言語聴覚士とは、スピーチ ランゲージ ヒアリング セラピスト(Speech Language Hearing Therapists:ST)とも呼ばれる職業、資格のことを指します。

言語聴覚士は国家資格であり名称独占の資格です。言語や聴覚に関する療法は言語聴覚士資格を持たなくともできますが、資格を持たない者が言語聴覚士を名乗ることは禁止されております。

言語聴覚士の資格取得方法

言語聴覚士の資格を取得する方法としては、言語聴覚士国家試験に合格し、登録を受けることにより資格を取得することができます。言語聴覚士資格は1997年(平成9年)に制定された資格であり、理学療法士や作業療法士と比べると新しい資格であると言えます。

言語聴覚士国家試験の受験資格

言語聴覚士国家試験を受けるには受験資格があり、高等学校卒業者が指定されている大学や言語聴覚士養成所にて専門的な知識を学び卒業するのが主な受験資格を得る方法と言われております。以下に、2009年現在の受験資格を記載いたします。

1

指定を受けている大学、または言語聴覚士養成所にて3年以上言語聴覚士に必要とする知識や技術を学んだ人

2

大学にて2年以上、高専(高等専門学校)では5年以上修業し、指定されている16科目を履修した人で、指定の大学、言語聴覚士養成所にて1年以上言語聴覚士に必要とする知識や技術を学んだ人

3

大学にて1年以上、高専(高等専門学校)では4年以上修業し、指定されている12科目を履修した人で、指定の大学、言語聴覚士養成所にて2年以上言語聴覚士に必要とする知識や技術を学んだ人

4

4年生大学にて指定されている18科目を履修し卒業した人

5

4年生大学卒業者で、指定されている学校、言語聴覚士養成所にて2年以上言語聴覚士に必要とする知識や技術を学んだ人

6

外国で言語聴覚士の学校、養成所を卒業した人、または言語聴覚士と同等の資格を取得した人で、更生労働大臣に上記1.〜5.に相当する人と同様の知識、技術を有していると認められた人

7

専門学校、養成所にて言語聴覚士に必要とする知識や技術を学んだ人

言語聴覚士の仕事

言語聴覚士は、発生や発音等の言語に関することや、聴覚に関する障害を医師の指示の下、リハビリテーションにより改善、維持することを目的とし、また障害を予防する為のリハビリテーションを行います。

対象となる症状について

言語聴覚士がリハビリテーションを行う対象となる症状としましては

  • 脳や喉等の障害により言葉を発することができない(失語症)
  • 口腔内の障害により物を飲み込むことができない(嚥下障害)
  • 言葉や音が聞こえにくい難聴

など様々な症状であり、高齢者から幼児まで言語や聴覚に関する障害を抱える全て人に対して検査、原因の調査、リハビリテーション等を医師、看護師、理学療法士や作業療法士と連携して行います。

言語聴覚士の職場

言語聴覚士が実際に働く職場としましては、病院の耳鼻咽喉科や脳外科、介護福祉施設や児童福祉施設、また教育機関等ですが理学療法士や作業療法士程、医療施設や介護施設に従事している人の数は現状多くありません。

人数が少ない理由

それは言語聴覚士という資格自体がまだ新しい資格であり、一般にもその必要性が認知されていないということでもあります。

言語聴覚士の試験が始まってから、2009年現在までに11回の試験が行われ、その合格者総数は15696人とされております。理学療法士や作業療法士と比べると、まだ実施回数の少なさから合格者数は少なく見えますが、徐々に受験者数が増えてきております。

現状では、業界的に飽和状態とは言えませんが、必ずしも希望の職場で働けるとはいえないようです。しかし、今後高齢者の増加に伴い、介護保険施設等の言語聴覚士の雇用が増えるであろうと予想されております。

言語聴覚士の介護保険における役割

言葉を話す、聞くということはコミュニケーションの基本であり、噛む、飲み込むという行為は食事を行うのに必要な行為です。食事をするということは生きていく上で必要なことですが、それ以上に美味しく食事をするということは心も豊かにしてくれます。

メンタル面におけるケア

介護保険の給付を受ける人の多くは先天性な障害ではなく、加齢等により障害を負う人が大多数です。口腔内に障害を負うことにより、今までと同じ食事を美味しく感じられなくなるということは少なくはなく、また、耳が聞こえにくくなることにより、人と話すことができなくなり、人とのコミュニケーションを拒絶してしまい鬱病にまで発展するケース等もあります。

障害は完全に回復するのが難しいこともありますが、口腔ケア等により予防することもできますし、補聴器等の福祉用具により補うこともできます。障害のある人は、不安に思っていることが有っても、それを伝えることができないという可能性が高く、家族の理解を得るのも難しい場合があります。

言語聴覚士は障害を抱えている人はもちろん、その家族に対しても障害を克服するべくリハビリテーションやアドバイスを行う仕事なのです。